パソナ社「Tomorrow’s Marketer Campus」に執行役員の荒竹が登壇しました|セミナーレポート

人材派遣会社大手のパソナ社が主催する「Tomorrow’s Marketer Campus」に、UNCOVER TRUTH執行役員の荒竹が登壇しました。このセミナーは、これからの成長や活躍を目指すマーケターの卵を応援するために、パソナ社が無料で開催している勉強会です。デジタルマーケティングを学ぶきっかけにしたい、視点を変えて勉強したい、マーケター同士の繋がりを作りたい…と様々な目的をもって集まった参加者の皆さまへ向けて「事例で学ぶ、Webサイト改善の考え方~PDCAの回し方 実践編~」のテーマでお話をしました。

前半はPDCAの考え方、後半はパソナ社の事例に沿った具体的なWebサイト改善手法という構成で、日頃UNCOVER TRUTHが主催している業界特化型のセミナーと比べても、よりサイト改善のノウハウを掴んでいただきやすい内容だったかと思います。


PDCAがなぜ重要か

データに基づいたPDCAがなぜ重要なのか

冒頭で荒竹は「コンテンツの文言を変えてみる」「ボタンの色を変えてみる」という2つの典型的な改善施策を例に挙げ、それぞれ4択のクイズ形式で、最も効果があった施策はどれだと思うかを会場の皆さんに質問しました。ここでお伝えしたかったのは、文言やボタンの色一つでもCVRを大きく左右する可能性があるということ、だからこそ根拠のない変更は危険であるといういうこと。つまり、データに基づいたサイト改善に取り組むことの重要性です。

荒竹はモノが売れるための仕組みを作るマーケティング活動の中で、「Webというタッチポイントでユーザーにモノを買ってもらう流れを作る」のがWebマーケティングであると定義したうえで、サイト改善のPDCAを回す必要性について以下の3つの理由を挙げました。

  • 課題は一度の施策では解決しない
    目標と現状のギャップ、つまり課題に対して実行した施策が必ずしも成果が出るとは限らないので、PDCAで施策を回し続けることが重要
  • 継続的、連続的に成果を上げることができる
    実施した施策の振り返り(Check)からさらなる施策(Action)に繋げることで、継続的に成果に繋げることができる
  • 社会のニーズや環境変化を察知し、すぐに対応できる
    データをすぐにC(Check)できる状態を作ることで、変化がおきた際にすぐに変化の原因を考え対策(Action)に移すことができる

つまりPDCAをうまく回せていないということは、継続的な改善や臨機応変な対応が難しいだけでなく、課題解決の達成が難しいという根本的な問題に直結すると言えます。それにも関わらず、多くの企業がサイト改善のPDCAでつまずいてしまう理由について、Plan、Do、Check、Actionのそれぞれのステップのボトルネックを紐解きました。


KPI設定のステップ

Planのうち、KPI設計でつまずくケース

サイト改善におけるPlanとは、目標設定 / KPI設計 / 実行計画および施策立案です。ここでつまずく理由は2つあります。一つ目は目標設定 / KPI設計 / 実行計画が具体的ではないこと。もう一つは、施策立案のプロセスが確立されていないことです。

まずは前者のボトルネックを見ていきましょう。読者の皆さまの中にも「会社や上司から目標がおりてきたので、とにかくやってみよう」というスタートでサイト改善に取り組んでいる方もいるのではないでしょうか。これは例えるならば、どの山に登るかも決まっていないまま歩き始めてしまっているような状況です。まず、登るべき山=KPIをしっかりと決める必要があるのですが、KPI設定の際に参考にできる考え方としてSMARTというものがあります。

  • Specific:具体的である、イメージできる
  • Measurable:安定した数値で計測が可能である
  • Actionable:実行可能な施策が思いつく、現実的に達成可能である、その目標に対して”打つ手”がイメージできる
  • Realistic:組織のゴールに関連した指標になっている、その指標を追うことが組織のゴールに繋がる
  • Time-Bound:期限が明確に設定されている

この考え方に沿って、さらに次の5つのステップで実際にKPIを設定していきます。

  1. 登る山と目標値を設定する【目標KPI】
  2. その領域における現状を可視化する
  3. 「登る山」に関連した課題を特定し、優先順位をつける【セグメントKPI】
  4. セグメントKPIに関連した改善指標と目標を設定する【追うKPI】
  5. ロードマップを策定する

注目するのは目標KPIセグメントKPI追うKPIの3つのKPIです。目標KPIは文字通り何を目標にするのかという指標で、パソナ社の場合は登録完了率だったというと分かりやすいかと思います。セグメントKPIはそこから一段掘り下げたもので、何を(どこを)改善すれば目標KPIに繋がるのかを見極め、改善に取りかかる優先順位を決めます。パソナ社でいうと、改善対象はトップページなのか詳細ページなのか、どのチャネルなのかを考えるステップです。そして遷移率や離脱率など、実際に追いかける指標とその数値目標=追うKPIを決めます。

この中でもセグメントKPIと追うKPIには考え方のコツがあり、まずセグメントKPIを考える際には、以下の3つの要素がポイントになります。

  • ゴールまでの距離:ゴール(CV)に近いほど、改善のインパクトが出やすい
  • ボリューム:影響するユーザー数が大きいほど、改善のインパクト出やすい
  • 次のステップへの遷移率:元の数字が低いほどポテンシャルが高く、改善の上げ幅が大きい

そして追うKPIについては、目標KPIに繋がる全てのステップの数字をきちんと見ていくことが重要です。パソナ社の場合、CVに至るまでのステップを遡ると「お仕事詳細」「規約」「仮パス作成」などのページが関連しますが、部分的な遷移率だけに目がいってしまって失敗した例が実際にありました(後ほど、事例のパートでご紹介します)。

このようにKPIを設定し、目標と期日から逆算していつ、何を(どこを)、どれくらいをあげる必要があるのか、そのために何をするのかというロードマップを引くことで具体的な目標設定 / KPI設計 / 実行計画を立てることができるのです。


ユーザー心理

Planのうち、施策立案でつまずくケース

さて、Planでつまずくケースにはもう一つ、施策立案のプロセスが確立されていないというボトルネックがあります。施策立案に必要なプロセスは以下の3つです。
1. ユーザー像を掴む:ここでまず重要なのが、体験としてのゴールの確認です。体験としてのゴールというのはサイト上でのCVポイントのことではなく、例えばパソナ社のユーザーにとって真のゴールは「就業して楽しく安心して働くこと」であり、サイト上での会員登録ではありません。サイトが真に目指すべきなのは、ユーザーが安心して働くことをイメージできる状況を作ることです。このような体験のゴールを意識した上で、トップページと詳細ページに来ているユーザーの心理状況の違いや、新規ユーザーと再来ユーザーの心理状況の違いなどをセグメントを切って細やかに掴み、それぞれのユーザーがどのような情報に触れると態度変容を起こすのかを意識しながら施策を考えることが必要です。
2. 自社の課題を掴む:施策立案には自社サイトの抱えている課題(=目標とのギャップ)を把握することが不可欠です。KPI設計の「Measurable」の項目でも挙げたように、サイトの状態をきちんとした数値で計測・可視化できることがこうしたプロセスのポイントであり、サイトの現状や課題を可視化するためには以下のようなツールを使用するのが有効です。
• 計測ツール:ページや機能の利用状況を可視化(Google Analytics、Adobe Analyticsなど)
• ヒートマップツール:ページ内の行動を可視化(USERDIVEなど)
• ABテストツール:実行結果の可視化(Google Optimize、Adobe Targetなど)
3. 他社のUIと比較する:同業種を中心に、他社の優れたUIを研究する姿勢も大切です。この際のポイントは必ず複数のサイトを参照すること。どんなに優れたサイトでも、たった一つのサイトだけを見るよりは、多くのサイトを見てそれぞれ優れたポイントに学びを得る方が効果的です。


checkの定点観察

Do、Check、Actionでつまずくケース

さて、ここまではPDCAのうちPlanでつまずくケースの原因と解決策をご紹介しました。ここからはDoとCheck、Actionについての話になりますが、Planに比べるとシンプルです。

Doでつまずくケースは大きく分けてリソース不足と社内の制約がボトルネックになると言えますが、これは社内体制や仕組みの見直しによって比較的簡単に解決することができると考えています。また、手がけられる範囲からABテストを実施し、小さくても具体的な成果を出して、サイト改善の効果を社内に示してみるのも有効な方法です。

CheckからActionでつまずくケースのボトルネックとしては、実行後のCheck対象が数値のみとなってしまい、テストの知見を次に活かせていないことが挙げられます。これを解消するにはまず「その結果となったのはなぜなのか?」までをセットにして効果検証し、データはもちろんですが、気づきや考察などの定性情報を含むアウトプットもフォーマット化することが有効です。

さらにテストで得られた結果を次に活かすために、以下の視点で結果を管理してみましょう。

  • 内容と優先順位の管理:どのような優先順位で何をしたか
  • ステータス管理:いつ初めていつ終わったのか、テストなのか本番実装なのか
  • 施策結果の管理:どのような結果が出たか

予定と結果が分かる状況を常に作っておくことで、次の施策にスムーズに移れるようになります。Checkから気づきを得てActionに繋げる考え方については、パソナ社の具体的な事例に沿ってご紹介します。


パソナ社フォローアップ例

失敗から学びを得て次に繋げる

さて、ここからは実際のパソナ社の事例とともに具体的なサイト改善手法のご紹介です。一つ目のプロジェクトでは、先ほどご説明した考え方に基づいて登録完了率をKPIとし、その手前にある動線を考えて「お仕事一覧ページ」「お仕事詳細ページ」を改善対象とすることに決めました。この時に重要なのが、KPIである登録完了率だけを見るのではなく、その後のKGIまでのユーザー行動をイメージすることです。パソナ社の場合は登録完了後の初回ログイン、プロフィール入力を経て、面談予約までを意識する必要がありました。

ログ分析の結果から、対象ページの中でも「お仕事開始までの流れ」の情報に接触したユーザーのCVRが高いことが分かったので、この情報への接触数を増やすための改善施策を実行(ちなみにここでは「ニーズは多いものの、CVにはあまり結びついていない情報」と混同しないこともポイントです)。この時の仮説は「仕事を探しているユーザーに次のアクションを訴求することで、求人案件を探す気持ちから登録する気持ちへ切り替わり、次に進みやすくなるのではないか?」というものでした。

そこでヒートマップ分析の結果から「お仕事開始までの流れ」に誘導するUIに変更しましたが、結果は惨敗。つまり変更前のデザインと比べて登録完了率が大きく下がったのです。詳しく分析すると「お仕事開始までの流れ」ページへの遷移率はきちんと上がっているものの、そこからの離脱率が高く、肝心の登録完了率に結びついていないことが分かりました。

この結果から得た考察は、せっかく検討度が高まっているユーザーを、登録に関係のない情報に接触させすぎた可能性があるというもの。そこで今度は「お仕事開始までの流れ」の情報には触れてもらいながらページ遷移する動線はカットし、そのまま登録ページへ誘導するUIに変更しました。すると登録完了率138%、面談予約率150%と大幅アップ。失敗して終わりではなく、PDCAのCheckから得た学びを次のActionに結びつけることの重要性が分かる事例かと思います。同時に、検討度の高いユーザーへ見せる動線はシンプルにするべきであるという、今後に活かせる具体的な知見も得ることができました。


複数のKPIを設定し、結果のギャップから仮説を疑う

次にご紹介するケーススタディは、登録完了率は上がったのに面談予約率は下がってしまったというもの。冒頭でご紹介したKPIの考え方でいうと、KPIと組織のゴール(KGI)にギャップができてしまっているような状態です。このケースでは、サービス理解が浅い状態で誘導してしまうと、登録しても面談予約には進まないのではないか?という気づきから、理解度を上げたうえで次のステップに進んでもらうための施策へとシフトすることができました。

実はこの施策では、登録完了率の他に設定していた福利厚生ページへの遷移率や規約ページへの遷移率など複数のKPIについても良い結果が出たものの、最後の面談予約率だけが下がってしまっている状況でした。このように複数のKPIを設定することで、結果のギャップから仮説を疑うというプロセスも非常に重要です。


パソナ社登録ページの施策

検証時の違和感からPlanを見直す

最後に、検証時の違和感からPDCAのPlanを根本的に見直したケースをご紹介します。このケースでは「お仕事詳細ページ」を経由するとCVRが上がるという分析結果から、複数の施策に取り組みましたが、いずれも登録ページまで遷移するのに次のステップに繋がらないという状況で行き詰まっていました。そこで、そもそも登録ページに阻害要因があるのではないか?という仮説を立て、当初対象にはしていなかった登録ページの改善の優先度を上げ、登録完了率が127%にアップするという結果を得ることができました。

この事例でもまた、複数のKPIを設定し、結果のギャップに違和感を持つことがいかに重要かということがお分かりいただけるかと思います。


PDCAの基本を押さえていれば、失敗を成功に繋げられる

PDCAの基本的な考え方をしっかり理解していても、パソナ社の事例でご紹介したように、失敗したり試行錯誤したりすることは日常茶飯事です。しかしPDCAの基本を押さえ、特にCheck → Actionのプロセスをしっかり進めていけば、失敗から学びを得てより大きな成功につながる可能性があります。今回のセミナーが、ビジネス成長に繋がるサイト改善のヒントとなれば幸いです。

UNCOVER TRUTHは今後もこのようなセミナーを通してプロフェッショナルの知見やノウハウを積極的に発信し、皆さまのWebサイト改善活動と、データドリブンなマーケティング活動を支援してまいります。

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