「レバレジーズ、パソナの事例にみる人材業界でのデジタルマーケティングの推進方法」セミナーレポート

消費者のニーズが細分化し、商品やサービスによる差別化が難しくなっている昨今、多くの企業が「顧客体験(CX、カスタマーエクスペリエンス)」の向上に注力しています。重要なタッチポイントであるWebサイトからいかに有益な情報を届けるか、そしていかに心地良く満足度の高い体験を提供し続けるかが、消費者のエンゲージメントを高める鍵として重視されているのです。

そこで今回は、エンゲージメントプラットフォーム「Marketo」を開発提供するアドビシステムズと、Webサイト改善・Webマーケティング・コンサルティングで多数の実績を持つUNCOVER TRUTHが共催で、「Webサイトでの顧客体験を最適化し、エンゲージメントを高める人材業界のデジタルマーケティング」をテーマにセミナーを実施しました。ソリューションベンダーである両社がそのノウハウを語るとともに、人材業界からレバレジーズ株式会社の石川信太朗氏、株式会社パソナの石井邦利氏をお迎えし、人材業界におけるデジタルマーケティングについて徹底討論しました。

コンテンツマーケティングを成功させるためのKPI設計とSEO施策

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第一部は、UNCOVER TRUTH CAOの小川卓による講演です。今回は、実際に株式会社パソナのWebサイト改善を手がけた経験から「コンテンツマーケティングを成功させるためのKPI設計とSEO施策」をテーマにお話ししました。対象としたのは、看護師や保健師など、医療関連業務で働く女性へ向けて”小ネタ”を提供するオウンドメディア「メディカル女子研究所」の事例です。

この事例では「パソナへの会員登録数を増やすこと」が最終的なゴールでした。ユーザー目線に立つと「求人との出会いを見つけてもらうこと」と言い換えることができます。

そのためのプロセスを分解して言語化すると「オウンドメディアにターゲット層を呼び込み、記事を読んで共感してもらい、サイトやサービスに関心を持ってもらい、会員登録をしてもらう」。さらにそれぞれのプロセスにおけるユーザーの態度変容を、具体的なKPIとして以下の指標に落とし込みました:

■ ターゲット層を呼び込む:検索流入、検索以外流入、PV数
■ 記事を読んでもらう:滞在時間、読了率、ヒートマップ
■ 共感してもらう:シェア、他記事閲覧、再訪問
■ 関心・登録:登録ページ、会員登録

3つのフェーズに分け、段階を追って施策を実行

KPIを具体化したら「流入」「内部」「CV」の3つの施策を行います。全体で3つのフェーズに分け、それぞれの施策について次のように段階を追いながら成果につなげます。

フェーズ1

■ 流入獲得:まず、マイナスをゼロにするための施策を行います。長期的に自然検索経由で流入獲得数を最大化するために内部SEO施策を実施したり、技術的な課題を解決する段階です。
■ CV獲得:CVRが高い記事を作成するという施策を行います。この事例では、CV期待度の高い「看護師×転職/派遣」を中心としたキーワードでの記事作成がそれに当たります。
■ 分析:現状を把握するための施策を行います。サイト分析が行えるようにインフラを整備したり、必要なツールを用意してデータを取得できる状態を作ります。

フェーズ2

■ 流入獲得:フェーズ1の施策を受けて、ゼロをプラスにするために、SEO強化による流入拡大へ向けてカテゴリの細分化を実施します。また「看護師 試験、看護師 人数」など、CV期待度は低くても流入獲得期待度の高い記事を作成するのもこのフェーズです。
■ CV獲得:上記の視点で、フェーズ2で作成する記事からフェーズ1で分析したCV貢献度の高い記事に向けて、送客を実施します。
■ 分析:フェーズ1と2の取り組みを評価します。各記事がユーザーの態度変容に繋がっているかを確認し、方向性の精度を上げます。

フェーズ3

■ 流入獲得:記事が増えてきた段階で、カテゴリの細分化と最適化を実施します。対象を更に広げるために「看護師」に直接関連するもの以外のキーワードを洗い出し、記事を作成します。ユーザーがコンテンツに触れる順番を意識しながら、求人にダイレクトにつながるような記事に誘導するなど、本体サイトと密接度合いを増やす施策を行います。
■ CV獲得:ここでもユーザーステージに合わせ、CV貢献度の高い記事に向けて誘導を行います。CVに直結する記事へたどり着く手前の動線を強化し、PDFやソーシャル施策など、広い層に対してのリードナーチャリングを実行するフェーズです。
■ 分析:最後の仕上げとして、コンバージョンに至るまでのユーザーの行動変遷を分析します。

3つのフェーズを整理したのが以下の図です。

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キーワードを広げ、絞り、技術対応の土台を整えた上でコンテンツを強化する

それぞれのフェーズをもう少し具体的に見ていきましょう。まずは、記事作成時のキーワード設定についてです。キーワード設定においては、そのままですが「ターゲットが検索するキーワードを理解/設定しているか?」が重要になります。

まずは種(たね)キーワードを把握します。種キーワードとは「看護師」「看護職」などターゲット層“ど真ん中”のキーワードのことです。この種キーワードを元にして、サジェスト、関連、競合流入とキーワードを広げていきます。サジェストキーワードは「看護師 年収」「看護師 資格」など種キーワードと合わせて検索されるキーワード。関連キーワードとは「恋愛」「結婚」などターゲット層が興味を持ちそうなキーワード。競合流入キーワードは同業他社などが作成していて流入が発生しているキーワードのことです。

こうしてキーワードを広げたら、今度は絞り込んでいく作業を実施します。ビジネスモデル上意味があるコンテンツなのか?という「サービス観点」、そして上位表示が可能なのか?という「SEO観点」からキーワードを絞り込み、記事作成に生かします。

上記の観点でキーワードを設定し、作成したコンテンツのポテンシャルを発揮できる状態するために重要なのが技術対応(コーディング)です。具体的には以下の項目が挙げられます。

■ 適切なパンくずリンクとディレクトリ構造の設計
■ TITLE / DESCRIPTION / 見出しタグの適切な設計
■ 最低限の速度表示の担保(秒あたりのbyte数)
■ 構造化マークアップ・https化・運営者の所在明確化

適切なカテゴリが用意されていないとコンテンツを増やしてもサイトの強化につながりにくく、非常にもったいない状況になってしまうため、コンテンツ構造の整理は特に重要です。

次に、コンテンツそのもの=記事の強化です。キーワード、技術対応と準備が整ったら、記事を書いていく上で重要なポイントを押さえているかを見ていきます。ポイントとなるのは、タイトルや文章量、目的に即した他記事への誘導などです。

一つの記事につき一つのトピックスに絞ることはもちろん、サマリーは記事の冒頭に持ってくる、タイトルはキーワードを前方に寄せたうえで30文字以内に収めるなど、コンテンツ作成の基本はある程度セオリー化されています。ボリュームについてはいくつか考え方がありますが、依然としていかに該当キーワードを散りばめるかというボリューム至上主義の側面もあり、キーワードの入れ込みやすさ=難易度によって、1000-2000文字または3000-4000文字を目指すのがよいでしょう。

また、記事の内容だけでなくレイアウトもKPIの指標に影響します。見出しや画像の入れ方などが重要で、特に最近ではソーシャルボタン=記事の終わりと判断するユーザーが多いことから、関連記事のリンクはソーシャルボタンの手前に挿入するなどの工夫が必要になります。

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分析については小川が日頃の講演でもお伝えしているように、現状把握と目標設定が肝要です。今自分たちの会社がどこにいるかを客観的に把握した上で、ゴールとの差分を見ていきます。

今回の小川の講演は少し趣向を変えて、コンテンツマーケティングにテーマを絞ってお話ししました。コンテンツマーケティングを考える際には「オウンドメディアにターゲット層を呼び込み、記事を読んで共感してもらい、サイトやサービスに関心を持ってもらい、会員登録をしてもらう」というプロセスに沿って適切な施策を実行することが重要であると強調し、講演を締めくくりました。

新卒社員が実現したマーケティング戦略の構築と成果

第二部は、レバレジーズ石川氏による講演です。「急成長企業レバレジーズで新卒社員が実現した『人材マーテクスタック』構築とその成果」というテーマの通り、現在入社2年目で、早くも同社マーケティング戦略におけるキーパーソンとなっている石川さん。アドビシステムズが提供するMarketoを始め、Treasuredata、Quicksightといった各種マーケティングテクノロジーをいかにして組み合わせ活用したか、2年間の取り組みとその成果をお話しいただきました。

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「登録はしたもののサービスを利用しないユーザーが多い」という課題から出発し、ユーザー心理に寄り添うことの重要性や各種マーテクを運用に乗せるまでのリアルな苦労話、運用に乗ってからの具体的な施策について触れ、最後はこうした取り組みをワークさせるためのチーム作りについても提言をいただきました。

4社によるパネルディスカッション

第三部では、第二部に登壇したレバレジーズの石川氏も交えて、パソナ石井氏、アドビシステムズ石野氏、弊社小川の4人でパネルディスカッションを実施しました。

冒頭で「基本的に上長からの指示はなく全てを任せてくれて、失敗した時だけフォローしてくれるという体制がありがたかった」とレバレジーズ石川氏。それを受けてマーケティング担当者の育成に話が及ぶと「パソナは技術的に特殊なスキルを持っている人材をマーケティングポジションに置いている訳ではなく、ABテストを繰り返しながら、チーム員が協力してよりよい結果を出せるように努力している」と石井氏。一方で、活躍できるマーケティング人材の特徴については「課題に対する明確な目標を策定し遂行する人。判断を下す上長に納得してもらえるエビデンスを示しながら、掲げた目標を着実に進めていくという強さが必要」と話しました。同様の質問に対してアドビシステムズ石野氏は「事業利益に対してどう貢献できるかという視点を持っている人。PLを見て動けるかどうかは、他の会社に行ってもマーケティング担当者として活躍できるかどうかを分けるポイントだと思う」と答え、第二部で登壇したレバレジーズの石川氏がその人物像に当てはまると指摘しました。

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その後も「様々な取り組みをするうえで、成功する時と失敗する時の違いは?」「今後期待するブレイクスルーは?」などクローズドセミナーならではのリアルな話が交わされ、最後には「チーム複数人で安全かつ高速に施策を高速で回す体制を構築したい」(レバレジーズ石川氏)、「個人の満足度がどのポイントで動くのかを掘り下げたい」(パソナ石井氏)と、マーケティングにおける各社の展望をお話しいただきました。

UNCOVER TRUTHでは、今後もこのようなセミナーを通して積極的に成功事例を発信し、Webビジネスの成長やそれに向けた組織上の課題を抱えている企業・ご担当者様を支援してまいります。

以上

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